作品紹介

イントロダクション

2013年12月4日、日本の伝統的な食文化「和食」が、ユネスコ無形文化遺産に登録された─。
異文化の食べ物である和食が、世界中でここまで認知されるようになった裏側には、和食の普及に人生を賭けた人たちの熱い物語があった。彼らが切り開いた和食の未来、そして日本とアメリカ、両国からみた和食の本質に迫るドキュメンタリー映画である。

共同貿易会長、金井紀年。現在91歳の金井は、50年前に移住し、本格的な日本の食材をアメリカに広め始めた。そして「いつしか必ずアメリカ人もにぎり寿司を食べるようになる」という未来像のもと、和食の魅力をアピールし続けてきた。良いネタが全米に流通しなければアメリカでは和食文化は育たないという信念のもと、金井が切り開いた和食文化は国境を超え、全米の和食職人や日本食レストランの関係者、食品流通者に受け継がれ、裾野を広げ続けている。

今や寿司をはじめとした和食は世界中で親しまれている。なかでもアジア圏外で最も和食が普及しているアメリカでは、日本食の店に入れば、肌の色を問わず、この食文化を楽しんでいる。

京都菊乃井主人・村田吉弘、美濃吉本店竹茂楼若主人・佐竹洋治、銀座久兵衛三代目・今田景久、世界中で日本食レストランNOBUを経営する松久信幸、ハリウッドのセレブリティが訪れる日本食レストランKatsu-yaグループの上地勝也、ブラッシュストロークのオーナー・シェフ デイヴィット・ブーレイ、uchiレストランのオーナー・シェフ タイソン・コール、ロブショングループのオーナー・シェフ ジョエル・ロブション。彼等により、和食に対する信念、和食の哲学、和食の未来像が語られる。

『和食ドリーム』プロダクションノート

すずきじゅんいち

見て美しく、健康に良く、食べて美味しく、クールジャパンの極み和食!

日本を離れアメリカに丸11年住んで、和食の素晴らしさをつくづく実感した。2013年12月には、和食がユネスコの無形文化遺産に選ばれた。そんな経緯もあり、また当時住んでいたロサンゼルスで、50年程前のゼロ状態から和食を世界に広めた知人の金井紀年さんと言う方が91歳となり、彼の業績を残したいという思いもあり、和食についてのドキュメンタリー映画を作ろうと考えた。
山路ふみ子賞や日本映画批評家対象などを受賞した日系アメリカ人の三部作映画、それらを一緒に作ったロサンゼルスの日系TV局UTBと、またまたコンビを組み、日本のフイルムヴォイスという映画製作会社が共同製作で、この映画を作る事に決まったのが2014年早々である。
日米での和食の過去、現在、未来を描いていこうと言う事で、撮影プランを考えた。
まず2月に京都で行われる和食の世界コンペを撮影する事に決めた。そのコンペの主催は日本料理アカデミー、京都の料亭「菊乃井」主人の村田吉弘さんが理事長だ。彼が実は和食の文化遺産申請の立役者だと言う。村田さんは和食のシェフとしては勿論だが、世界への和食の発信者として現在大活躍だ。
そしてもう一人の文化遺産登録の主役が静岡文化芸術大学学長の熊倉功夫さん。熊倉さんにも和食について沢山貴重なお話をして頂き、映画でも色々使わせて頂いた。
その他、政府として和食を世界に広める前クールジャパン担当大臣の稲田朋美さんをはじめ、世界的な食品会社の社長さんたちや超一級の世界のシェフたち、和食を研究している大学教授たちなど、多くの素晴らしい人たちを取材し撮影させて頂いた。名前を挙げるとそれでこの原稿が埋まるくらい、60名以上の取材をしている。
そうした中での編集は嬉しい様な哀しい様な具合とならざるを得ない。つまり90分程度の適正な鑑賞時間に映画の長さをしたいのだが、取材者の皆さんの話は貴重であり、切りたくはないのだ。しかし、単純に言っても90分の映画で60人の人が登場するなら一人当り1分半となってしまう。当然クレジットタイトルや実景的な描写も多い訳だから、平均して一人一分となってしまう。何日間も取材撮影をさせて頂いた方もあるので、その編集では頭を悩ませた。
約3ヶ月の撮影と3ヶ月の仕上作業で映画は完成された。
ボクが11年間の米国に住んでいた時に作った日系アメリカ人の三部作映画のそれぞれは、ほぼ構想に半年、撮影に半年、仕上げ(編集、録音)に半年かけ、そして公開にもそれと近い期間をかけ、つまりそれぞれに2年間を掛けていたから、それと比べると大変早く完成させた。でも、通常の劇映画作りと比べれば、やはりドキュメンタリー映画は、製作には時間がかかっている。どれだけの期間を掛けて撮影し、どれだけのフッテージ(撮影済みの素材)を撮ったかが、映画の価値に結びつくのがドキュメンタリー映画の宿命である。
三部作映画は、4〜500時間の素材から1時間半程度の映画となったが、今回は200時間少しだったから、それも省力化されたとも言えるが、100倍程の素材から1時間半程度の映画を作っているのは、劇映画と比べるとやはり豪華だと言えるだろう。ボクが最初に監督をした日活ロマンポルノでは2倍のフイルム使用が通常であったし、一般映画であっても完成版の3~5倍というのが、昔の撮影済みフッテージの平均であったから、如何にドキュメンタリー映画が、沢山撮影するかお分かりになるだろう。

今、世界で和食は絶好調の面もあるが、実際に日本では危機的でもあるという。どんどん和食の基本のご飯を食べる量が減っているという。つまり和食が食べられていないという。そう言う中で、歴史としても記録にもなる和食の映画を作れたのは意義深かったと思っている。

是非、一人でも多くの方に見て頂き、和食の素晴らしさ、その奥深さを知って頂き、より健康的で美しい和食中心の食生活から、充実した日々を送って頂ければ、この映画を作った甲斐が有ると考えている。